酸蝕症

こんにちは。やまだホワイトクリニック歯科 歯科医師の森です。

最近、テレビや雑誌の特集などで、お酢の効果をよく耳にするようになって来ました。 例えば、大さじ1杯(15ml)の食酢を毎日取ることで、高めの血圧が低下したり、内臓脂肪が減ったり、血中総コレステロールや血中中性脂肪を低下させたり、疲労回復に役立ったりということは、科学的にも実証されているようです。(酢の力―ミツカン参照)  

こういった様に、健康にいいとされているお酢をはじめ、フルーツやスポーツドリンクを含む清涼飲料水は、その酸味からも予想されるとおり、酸性の食品になります。虫歯は口腔内にいる細菌が糖分を分解して酸を作り、歯を溶かすことで発生しますが、同様に酸性の飲食物によって、口腔内のpHが5.5~5.7以下になると歯の表面から歯の成分である『リン酸イオン』や『カルシウムイオン』が溶け出してしまいます。虫歯と違い、溶ける範囲が広く浅い為気付きにくいのも特徴になります。

症状としては、奥歯のかみ合わせる面に窪みができたり、歯が黄ばんで見えるようになったり、しみるようになったりします。

基本的に歯が酸に触れている時間が長ければ長いほど進行する為、酸性の強い物を摂取した後は水やお茶を飲んだりうがいをしたり、寝る前に摂取したり長時間だらだらと取らないように注意することが必要となります。 その他に、歯質の耐酸性を高める為に、フッ化物の応用が効果的です。フッ化物によって脱灰した歯の再石灰化を促し、エナメル質の成分であるハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトに置き換わり、酸に強い歯を形成します。勿論、虫歯予防にも効果的です。

歯は一度溶けてしまうと元通りに戻ることはありません。身体の健康と歯の健康を両立させる為にも、酸蝕症にならないようにきちんとケアすることも必要です。