虫歯ができてしまってからの治療のサイクル

何かの不具合を感じて歯科医院を受診した時、別の虫歯を指摘される経験をした方は多いのではないでしょうか。

痛くないのに削られたと不満に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

虫歯は、下図のように進行しますが、日常的に症状が出てからではかなり進行してしまっていることが多く、神経を取ってしまうと歯が割れたり、虫歯になっても痛みをなかなか生じにくくなってしまうため、歯の寿命も短くなってしまいます。

では、一本の歯が最初に虫歯になるとどういうような経過をたどって行くのでしょうか?


上図のように健康な歯が小さな虫歯になると、まず虫歯の部分を削って、プラスチックを詰める事になります。

プラスチックはプラークが歯よりも汚れがくっつきやすい性質があるため、その治療から平均して5.2年後、プラスチックの周りが虫歯になったり、歯と歯の間など他の部分から新しい虫歯ができたりして、やや大きめの銀歯になります。最初に見つかった時点でかなり大きな虫歯であれば、最初の治療の時点からこの銀歯を選択しなければなりません。

そして、銀歯は、毎日3回の食事で熱いものや冷たいものを噛むため、歯と大きく異なった膨張や収縮を繰り返す事により、銀歯をくっつけていたセメントが流れ出て、中に虫歯菌が入り込むなどの原因で、平均して5.4年後銀歯の周りが虫歯になり、場合によっては神経をとって大きな銀歯でかぶせる事になります。

神経を取った歯は、前述の通りその後の歯の寿命を短くしてしまうので、平均して7.1年後、最初の治療から約18年後、抜歯になってしまいます。

抜歯までの期間をいかに伸ばして行くかが、歯を保存して行くために重要な事になります。

まずは、①虫歯にならないように毎日の歯磨きをしっかり行う事。

そして、②定期検診になるべく早期発見、早期治療を行う事で、口腔内の虫歯菌の量を減らして、他の歯の虫歯のリスクを減らす事。

さらに、③歯に優しい材料で虫歯の治療をして行くことも大事です。

セラミック治療は保険外の治療ですが、プラスチックや銀歯に比べてプラークが付きにくく、素材によって熱での膨張収縮変化が歯と近似しているため、くっつけたセメントの流れ出しなどを予防してくれる効果もあり、ただ審美的というメリット以上の効果が期待できます。

抜かなければならなくなったら、他の歯の噛み合わせの負担が増したり、虫歯でなかった歯を削って寿命を縮めたり、入れ歯を引っ掛ける歯に負担を強いたりする事になります。

そういう意味でも、インプラントで他の歯に負担を強いることのないインプラントは、歯の保存という意味で優れた治療法と言えます。

たくさんの治療法が提案されて、治療費も一見高いように思えるかもしれませんが、歯を抜かなくてはならなくなるようなサイクルに陥らない方法をぜひ検討してみてください。