江戸時代の歯科治療

今日は、博多区のやまだホワイトクリニック歯科の森です。

博多駅前の道路の陥没、大変驚きましたが、皆さん影響はなかったですか?

今回の陥没でも、停電や断水などが起きましたが、地震などの災害でもやはり電気や水道といったライフラインが断たれることがあります。歯科を含めた現代の医療は、高度な医療機器を使用して治療を行なっていくため、もし水が出なかったら、もし電気が入らなかったらと考えると、実に無力だと実感します。

歯科医院にを受診する主な疾患は「虫歯」と「歯周病」です。

虫歯の治療は、なるべく早期に発見し、虫歯菌に感染した歯質を削って詰める、もしくは神経まで虫歯菌の感染が行っていた場合は、感染をすべて除去した上で、神経を取って神経の管に感染源が貯まらないよう緊密に薬を詰めて被せ物をする、といった治療になります。歯を削れなければ、どうにもできません。

歯周病の治療は、歯茎に炎症を起こす汚れを落とすことです。歯ブラシで落ちる汚れが、長期間放置されていたら硬く石灰化してしまいます。これが歯石です。歯石は、現代は超音波スケーラーと手用スケーラーを用いて除去していくわけですが、小さな歯石も見逃さず落とすには、デンタルチェアの明るいライトは欠かせません。

では、今当たり前に皆さんが座っている歯医者の椅子どころか、電気も水道も整備されていない江戸時代の歯科治療とは、一体どのようなものだったのでしょう。

江戸時代の口中医(歯医者)が主人公の小説があるのをご存知ですか?

和田はつ子さんの「口中医桂介事件帖シリーズ」で、現在14冊出版されています。


その中で描かれている歯科治療は、「虫歯は、根っこが化膿するまで、対症療法」「膿んで腫れたら、漢方薬で消炎し、後日抜歯。歯を削ったりはできない」「歯医者は薬も高価で庶民にはなかなかかかれない」「ので抜歯は道端の大道芸人の手によって、居合抜きの勢いで抜いてもらったりする。もちろん麻酔なし」「抜歯で死ぬことも珍しくはない」「現代の歯ブラシなんてないので、木の先の繊維をほぐした房楊枝と呼ばれるもので歯磨きをしていた」「意外と歯磨き粉(のようなもの)も売られていた」「そして入れ歯は、木製義歯」などなどです。

現代人で良かったなと思うのはもちろんですが、木製義歯も唾液による膨張量を考慮したなるべく吸い付きの良い木でできていたり、義歯専門の技工士が直接型を取ったりして作成していたり、現代の医療も先人の試行錯誤により発展してきたんだなと改めて感じます。

加速度的に進歩を続ける歯科医療業界ですが、遅れることなく、多くの人が開発した素晴らしい機器を活用しながら、より良い治療を提供するべく日夜勉強しようと思います。